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『Puss N Boots in New York』

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Puss n Boots

Puss n Boots is an American alternative country band from Brooklyn, New York, formed in 2008 that consists of members Norah Jones, Sasha Dobson and Catherine Popper. Their debut full-length album, No Fools, No Fun, was released on July 15, 2014, through Blue Note Records.

 

Rの住人
Awesome
Bravo!
博士

 

 

NYブルックリン ベル・ハウス

 

「本当はアルバムを作るつもりはなくて、ただ楽しいから始めたの。最初は、友達とか彼氏の前だけで演奏していたんだけど、お客さんの前で演奏してみたら、私たちもすごく楽しくて。お客さんも楽しんでもらえているようで、こうして今日もステージに立たせてもらっているというわけ」
と語ったのは、 赤いエレキと赤いウェスタン・ブーツというキュートな姿でステージに立つノラ・ジョーンズ。ジャズ・クラブで演奏している時代から15年以上の親友というサーシャ・ダブソンと、ライアン・アダムスやジャックホワイトのバンドにも所属していたキャサリン・ポッパーと結成した女性3人のカントリー・バンド、プスンブーツとして、この日7月15日に、バンドの記念すべきデビュー・アルバム『ノー・フールズ、ノー・ファン』の新作お披露目ライブを行ったのだ。

チケットが買えたファンはラッキーとしか言えない、キャパたった350人のNYブルックリン、ベル・ハウス(アルバムのライブ収録された曲が演奏された場所)という会場で行われたこの日のライブで、ノラは、世界的なスーパースターであるジャズ・ミュージシャンとしてステージに立つ時とは少し違う面を見せていたように思う。ずっとリラックスしたモードだったし、カジュアルで終始楽しそうだった。それは、恐らく『ノー・フールズ、ノー・ファン』。“悪ふざけしなかったら楽しくない”、というアルバムのタイトルと、バンドのモードにも関係しているのだろう。メンバー3人の仲の良さがそのまま伝わってきたし、全体的にすごくチャーミングなライブだったのだ。観ているほうにも、楽しさが伝染してしまうような。いつもリハーサルはしないそうなので、演奏も自由でリラックスした雰囲気。例えば、ノラが「バンドのTシャツを買ってね。プスンブーツって書いてあるから」とコメントしながら、ちょうどプスンブーツというロゴがノラの胸のど真ん中に「あ、でも、私のおっぱいは見ちゃだめ!」と言う場面があったりもしたくらい。とは言え、メンバー3人ともずば抜けた才能の持ち主なだけに、どんなにリラックスしていても、例えば「トワイライト」始め、ハーモニーには鳥肌が立つ瞬間が何度もあったし、失恋や好きな人を思う切ない歌詞には、心がじーんとしてしまう場面も何度もあった。また、ウィルコの名曲、「ジーザス・エトセトラ」では、ノラの声の素晴らしさが思う存分堪能できるし、かと思えば、トム・パクストンのカバー「リーヴィング・ロンドン」などで、3人でギターを持って一列にステージ上に立つ瞬間が何度もあり、女性3人が、ミニスカートで、ブーツで、そしてギターを抱えていると、それだけですごく新鮮だし、思いきりパワフルでもあった。全員が新しい楽器を学ぶというのもこのバンドのコンセプトのひとつだったから、ノラはギターを弾いているのだけど、時々たどたどしい場面もあった。「でも、最近ライブをしていて面白いのは、なぜか私がギター・ソロを間違えれば間違えるほどお客さんからの拍手が大きくなること。もちろん、今日は間違えないように演奏するけどね(笑)」と言い、本編の最後にニール・ヤングのカバー、「ダウン・バイ・ザ・リヴァー」を披露。元々ノラがこの曲のギター・ソロがすごく好きだったということで選ばれたこの曲で、この日は間違わずに無事演奏された。どころか、確かに技術的には上手いとは言えないかもしれないけど、それでも人の耳を奪うような強烈な何かを語りかけてくるようなノイズのかかったギター・ソロだった。弾き終わった後、会場からは大喝采を受けた。
もちろんノラが一番有名だし、カントリーというフォーマットでノラの新しい才能に触れることができるのはファンにとっては非常に嬉しい。しかし、このバンドは、3人がそれぞれの役割が均等。例えばサーシャが作った「セックス・ディグリーズ・オブ・セパレーション」は、「私はあなたのことを愛してないフリをしているだけ」と始まり、深い物語を感じる歌詞で、そのトーンは思いきり物悲しいのだけど、ノラとのハーモニーで、さらに美しい何かに昇華していった。この日のハイライトのひとつと言える曲だった。また、キャサリンが書いた「パインズ」はシンプルながら特徴的で不穏な雰囲気すらあるメロディが非常にパワルフな曲だし、かと思えば、「オールウェイズ」はギター・メロディが軽快な良い曲で、会場の雰囲気をぱっと明るくした。ライブしている方も幸せそうだし、観ている観客も幸せ。両者ハッピーな笑顔で、素晴らしいライブは終了した。

セットリスト:
Home Of The Blues
Twilight
Don’t Know What It Means
In A Shanty Town In Old Shanty Town
Leaving London
Double Duty
Cry Cry Cry
Sex Degrees Of Separation
Bull Rider
Tell Yer Mamma
Pines
Always
Tarnished Angel
Jesus, Etc.
GTO
Night After Night
Deep Sea
Joey
You’ll Forget Me
Down By The River

Encore
If You Don’t Like Hank Williams

 

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